The Capture of the Five Boroughs 『五都市の奪還』

The Capture of the Five Boroughs は、Anglo-Saxon Chronicle の942年の欄に記録された詩で、ヴァイキングに支配されていたマーシアの五つの都市の奪還のことがうたわれている。The Battle of Brunanburh に記録されているブルーナンブルフの戦いで北方のノーサンブリアの支配を固め、イングランド全土を支配したアゼルスターン王が939年に亡くなると、腹違いの弟エーアドムンドが王位を継いだ。

彼はイングランド全土を支配する王として王位を継いだ最初の王だったが、すぐにノーサンブリアとマーシアの一部を失ってしまう。この詩は、失われたマーシア北部を再び奪い返した際の記録である。なお、エーアドムンドは即位から約6年半後に二十代半ばの若さで亡くなっている。

以下の邦訳は、E. V. K. Dobbie (ed.), The Anglo-Saxon Minor Poems, Anglo-Saxon Poetic Records 6 (New York: Columbia University Press, 1942), pp. 20-21 のテクストに基づく。

 

『五都市の奪還』

   

   この年に、エーアドムンド王、アングル人たちの首領にして

   同胞の守護者、敬愛すべき為政者たるお方は

   マーシアを征服せし。ドア[1]

   ウィットウェル[2]と、かの大河ハンバー川の

5  境に及ぶまで。五つの都市、

   レスター、リンカン、

   ノッティンガムにスタンフォードと

   ダービー(を奪還せし)。これ以前、デーン人達は

   北方人たちのもと、長きに亘り

10 異教徒の足枷に繋がれ、やむを得ず

   服従させられておりし。彼らを、その栄光故に、戦士たちの首領、

   エーアドウェアルドの息子たるエーアドムンド王が

   再び解放せし時までは。



[1] ドアという町は、マーシアからノーサンブリアに通じる玄関口に位置しており、北方へ通じる「ドア」ということで、Dore という地名は door と同語源とされている。

 

[2] ノース・ヨークシャーの町の名前 
 

*参考
この詩の中に言及される土地は以下の通り。赤い四角は奪還された五都市、青い四角は詩の中に言及されるドアとウィットウェル。四角の上にポインタを合わせるとその都市の名前が表示されます。